「建もの探訪」

最近、パソコンで映画やドラマ見放題のチャンネルに登録したせいで、めっきりテレビを見なくなってしまった。それはいいのだが、ニュースを見ることもなくなってしまい、それはさすがにまずいと思っている。思っているけれど、高校時代にハマっていた昼ドラ「花嫁のれん」が全シリーズ配信されていて、見始めたら止まらなくなってしまうから仕方がない。毎日録画して、学校から帰って見るのが楽しみだったなぁ。嗚呼なつかしの我が青春。

 

昼ドラが青春って。

 

だからニュースはスクールバスでの移動中なんかにスマホで見るようにしている。これが不思議とあんまり頭に入らない。テレビで見るのとどう違うっていうのか。ボクの頭がついて行っていないだけですね。

福岡ではそんな生活だが、宮崎の実家に帰った時は、ネットを引いていないせいでテレビばかり見ている。ここぞとばかりにテレビを見ている。福岡のほうがチャンネルも多くて品揃えがいいのに、わざわざ宮崎で見ている。実は福岡では放送していないが、宮崎では放送されている番組があるのだ。

 

ボクがいちばん好きな番組「渡辺篤史の建もの探訪」。

 

木曜の朝十一時十五分から放送されている。渡辺さんのまろやかで温もりのある語り口調と、親戚のおじさんが引越したばかりの家に初めて訪ねてきたような、あの何とも言えない親近感、というか少し遠い身内感がたまらなくツボなのだ。

 

それだけではない。恐らく宮崎限定だが、スポンサーが大成住宅というところで、この会社のCMはボクの中で『全日本CM選手権 長谷川万大杯』において二十年連続トップに君臨し続けている。

 

まずCMソングが素晴らしい。曲を聴いただけで八十年代、九十年代のバブルの雰囲気に包まれてしまう。ご存じの通りボクはバブル崩壊後の人間。そんな雰囲気は知るはずも無い。それなのにバブリーな空気を感じてしまえる。

そして映像がまた心をグリグリくすぐる。何十年も撮り直されていない、VHSビデオの映像を見ているかのような心地よい粗さ。幼少期からVHSに慣れ親しんでいたから、ボクには美しすぎる画質はちょっとくすぐったい。鮮明過ぎない映像が好きなのだ。

高画質化が進むこのご時世に粗い画質で突っ走るその姿。出演されている女性はいったい今いくつになっているんだろうといつも思う。音楽と映像が織り成す世界観に脱帽。しかもシーズン毎に違うバージョンが存在するのだ。

 

だが。

 

去年の夏。ボクはショックを受けてしばらく立ち直れなかった。ここまで魅力を説明した後にこの話をするのもちょっと気が引けるが、何十年も守られてきたこのCMがついにリニューアルしたのだ。

ついこないだ撮って来ました! と語りかけてくるような鮮明でピカピカしたそれは、制作者の皆様には申し訳ないが、久しぶりに宮崎に帰り、このCMとの再会を楽しみに待っていたボクにとってはぶん殴られたような気分だった。それからしばらくは番組を見る気分になれなかった。

 

しかし、しかし。

 

この話は簡単には終わらなかった。

落胆した夏が終わり、傷も癒えた冬に再び帰った時に久しぶりに番組を見た。するとあのCMが、ボクをトリコにして離さないあの画質の粗いVHSのような世界がテレビに映し出された。

もしかしたら他にもボクみたいな熱狂的なファンがいて、その人たちがストライキでも起こしたのかも知れない。ともあれ、

おっと、好きなことの話になると止まらない。建もの探訪とCMの話をしすぎたせいで本来書こうと思っていたことが書けなくなってしまった。それはまたの機会に書くことにする。