「初めての夏フェス」

 

ちょうど2年の月日が流れた。

 

 

初めてお台場のフェスに出演した、あの日から2年経ったのだ。

 

きっかけは大学に入ったばかりの頃に、フジテレビの深夜番組「未来ロケット」で取り上げていただいたことだ。この番組は日本中のさまざまな原石を発掘していくという内容で、入寮したてのボクのもとに、お笑いコンビ「三四郎」の小宮さんがリポーターとして訪ねてくるというものだった。

 

その収録があったのは4月12日。今でもはっきり覚えている。小宮さんとの時間があまりにも楽しくて、収録であることを忘れて好き放題していたような。

 

 

ボクが谷村新司さんのマニアックグッズを紹介するくだりを撮った後に小宮さんが、谷村さんも着けていた肩凝り用のネックレスが記念に欲しいとおっしゃったのだが、今はなかなか手に入りにくいものだったので誤魔化して結局何もあげずじまいだった。ちょっと後悔している。

 

 

そしてその年の夏、担当のディレクターさんから電話が入り、8月の20日、21日空いてますかと訊かれ、何をするのかは教えてくれなかったが、この時点で既に興奮していた。絶対また何かすごいことがあるぞこれは、と。

 

大丈夫です! 空けときます! と即答し、ディレクターさんのほうからまた連絡します、ということで電話を切った。

 

しかし、あと一週間後に迫ってきても一向に連絡がない。あれ、もしかしてバラシになったかなと肩を落としていた矢先、祖母の家で昼飯を食べて「ごきげんよう」を見ながらゴロゴロしていた折に再び電話がかかってきた。

 

 

夏フェスをやります! と初めて内容を告げられた。そんなキラキラした響きのイベントとは無縁だと思っていたから、その場にいた祖母とともに飛び跳ねて喜んだ。いや実際には飛び跳ねていないが、心はもうお台場に飛んでいた。

 

 

一週間後。修学旅行以来の花の都。会場付近に降り立つと、若いピチピチ女子がボクのほうに駆け寄って来た。

 

「長谷川さんですよね? 写真いいですか」

 

 

ええええええええええええええええ!! 長谷川さんですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

 

よくある、写真いいですかと言われて隣に立ったらシャッター切ってくださいのほうだった、というオチの笑い話なんかでは決してない。確実に、長谷川と、この長谷川万大と写真を撮ってくれと言ったのだ。

 

 

驚くのはまだ早い。この後にもう一組の女子にも声を掛けられ写真を撮った。

 

東京というのはなんて恐ろしいところなんだ。

 

 

ボクはここに染まろうと決めた。

 

 

若いピチピチ女子に声を掛けられるなんて宮崎じゃ有り得ないことだったから、この話は若い女性が会場にいる時には当て付けのように話すようにしている。

 

 

その後はしばらく時間があったのでお台場を散策。夏休みなので、毎年恒例の「お台場新大陸」というのが開催されており、フジの人気番組のお店やなんかで賑わっていた。

 

それにしても死ぬほど暑かった。宮崎の暑さとはまた違う、人々がひしめき合っている暑さ。

 

やっぱりここに染まるのはやめよう。無理だ。と断念した。