「夏といえば」

 

ボクの誕生日の8月7日を過ぎると、もう残暑というらしい。

 

まだまだ暑いのに。これからもっと暑いのに。なにが残暑だ。

     

あ、21歳になりました。おめでとうございます? ありがとうございます。

     

変な感じですよね、一年に一度、当たり前のように歳を取っていくって。まァ当たり前ですけど。

 

でも「歳を取る」という言い方はあんまり好きじゃない。「歳を重ねる」のほうが、なんだか心地よい。

 

「取る」って言うと人生の残り時間が減っていくような寂しい感じがするけど、「重ねる」って言うとだんだん厚くなって、まるで人生が一冊の本になっていくような、そんな感じがしませんか。

     

ところで、夏といえば思い出すことがある。

     

三年前、暑さだけでなく、熱さもかなりヒートアップしていた。NHKさんのカメラに追われていたからだ。

 

わざとこんな言い方をしたが、勿論犯罪者としてではない。

 

昭和を歌う高校生としてである。

     

今思えばけっこう過酷だった気がする。ボクなんかより重い機材を抱えて走り回っていたスタッフさんのほうが何十倍もきつかったと思うが、どんなに暑くて日に焼けようと、どこまでもボクを追いかけ続けてくれた。

     

忘れられないのは、撮影も終盤に差し掛かった8月12日。

 

朝9時ごろに、突き刺すような陽射しの海辺で撮影開始。それから地元・日南のゆかりある場所を転々としながら、ほとんど屋外でギターを片手にずっと歌っていた。12時間を越える撮影は夜も続いた。ボクもカメラマンさんも必死だった。

     

カメラマンさん・・・Kさんとしておきましょう。Kさんとは現在でもたまにメールやはがきで連絡を取っている。ちょうど去年の今頃、転勤で東京へ行かれた。

     

Kさんとの出会いも、不思議なものだった。

     

この撮影の前月、ボクは宮崎山形屋の四季ふれあいモールというところで歌っていた。会場は吹き抜けのようになっており、音響を通してはいるがストリートライブに近いもので、人の往来が多いため通りすがりのお客さんが立ち止まって聴いてくれたりする。ボクの出番があと1、2曲で終わるかな、というところで、Kさんは突然、風のように現れた。

     

あの時のことは鮮明に覚えている。

     

若い女性が『この人はいったいなんなんだろう・・・』という、長谷川を初めて見た方おなじみの表情を浮かべていちばん後ろのベンチに座り、座ったかと思えばまた立ち上がり、タブレットのようなものを取り出して動画を撮り始めた。

     

それからしばらくして、ホームページだったかに連絡があった。話を聞いてすぐにあの時の女性だ、と分かった。それは母も覚えていた。

 

大きな出会いはその始まりからすでに大きいものだ。

    

ボクの密着取材は宮崎ローカルのみの予定だったが好評だったようで、ありがたいことに「おはよう日本」で全国放送され、NHK福岡の番組「はっけん!TV」ではまるまる長谷川特集という、立て続けに粋な計らいをしてくださった。「はっけん!TV」についてはまた後日、詳しく書くことにする。

 

たった数十日間の夏に、これだけ大きな、そして多くのご縁と繋がった。

 

出逢いとはまさに、ビックリ箱である。